ホットココアのキミ
“ぎゅっ…”


壊れ物を扱うみたいにそっと、でも離さないって気持ちが伝わってくる抱きしめ方だった。

私もその思いを重ねるように彼の背中に腕を回した。

「光輝…ありがとう…いつも助けられてる…ごめんね、伝えるのが遅くなって…」

「そんなことないよ…ただ…」

「ただ?」

「ヒナが可愛くて目が離せなくて、いつも見ているだけだから…でも、なんかあったらすぐに言って?」

「うん…光輝…好きだよ…」

「ありがとう…ヒナ…好きだ…」

「…これからもよろしくお願いします」

「こちらこそ」

どちらともなく体を離し、何となく幸せな気分で微笑み合った。


そして少し冷めたココアを二人で並んで飲んだ。
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