永遠の12歳
バスの集合場所にはすでに生徒が集まっていて列を作っていた。


女子は猛スピードで走ってくる太郎を見て悲鳴を上げる。




「きゃーっ!ちょっと太郎その格好いつもに増してキモいんですけど!」


「てかスネ毛!うちらにきたねぇ足見せんじゃねーよ」


「女子!うるせ―ぞ!今日晴れたのは俺様のお陰だって知らねぇだろ!」



半袖半ズボンに赤白帽子姿の太郎は息を切らせながら列の先頭に立つ。


学級委員長の男子が呆れた顔で太郎を見る。



「つか太郎は赤白帽いらね―だろ。あんた先生なんだし。俺ら生徒ですら誰もかぶらねーぞ」


「バカ野郎、お前ら規則は守りやがれ!先生の見本をよく見ろ!」


「太郎がキモすぎるから誰も同じになりたくないんだよ」




太郎が教師を志したのは

いつまでも永遠に給食を食べたり、遠足や修学旅行に参加したり、運動場でサッカーをしたかったからだった。




「そういうのピーターパンなんとかっていうんだよ、せんせ―」


「あん?ピーターパン?バカか、俺は大人だからアニメは見ねーよ」



こうして太郎の12回目の楽しい修学旅行が始まった。

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