明るい光のその先に
第三章【冷めた心】
高校二年生になりました
咲かない桜の木は
私が二年生になっても咲きませんでした
私は二年生から制服を着て来なくなり
存在が浮きました

学校の新しいルールで
私服で来ても良いという風になったから
ママのネックレスもなかなか切れない
紐に替えて首につけている

〈明ちゃんおはよう〉
(おはよう…)高校二年生になって
もっと花と喋るようになった
花だけじゃない…風…水すべての
声なき声が聞こえる

(ねぇ…ママはどんな人だったの…?)
〈琉良ちゃんは真っ直ぐな人だったよ〉

真っ直ぐ…か…

「明!授業始まるよ」
「わかった…」光に手話で伝えた後
私は…校舎に戻る

上履きをひっくり返し、
画鋲を落として…同じことを美玲に返す
美玲の場合ローファーに画鋲を入れる
私は…ネックレスを握りしめ…
教室に入る
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