ムテキ
別にこの音が嫌いって訳でも、
ましてや好きって訳でも無い。
只、それは義務だから。
ピーーーーーッ
電子音。
『任務完了致しましたでしょうか。』
「もう殺ったから。」
目の前に在る、悲惨なこの周囲を
眉を寄せながら見ると、確認した。
ーーーーーこの瞬間が、苦手だ。
何ともいえない消失感。満足感とは程遠いもの。
『了解致しました。後はお任せくださいませ。』
プツッ
返事をせずに、すぐに通信を切った。
ここは、訓練場。さっきの人は、
訓練対象の、人間。やられるかどうかの。
コツコツ、と靴の音を鳴らしながら
出口を出る。