見習い天使と勇者たち
「ふふーん♪」
大きな紙袋を持った少女は、下界へ通じる扉から機嫌良く出てきた。
「あ!ナーザ、また下界行ってきたのか?」
「あら、バシンリじゃない!」
「いつも言うけど、"バ"いらないから!シンリだから!」
「これあげるから、機嫌直して♪」
「直る訳…あっ、チョコじゃん!僕、下界行けないから嬉しい!」
「やっぱりバシンリね」
ナーザとシンリがいかにも子供らしい会話をしていると、そこにイマの側近が現れた。
「見習い天使ナーザ」
「わ、私、今回は下界で何もやらかしてないわよ!?」
「前はやらかしたんだ…痛っ!!」
ナーザはシンリを殴ると、大天使に向き直った。
「で、何ですか?」
「イマ様がお呼びだ。デルタも居るぞ」
「デルタ姉が!?行く行く!!今すぐ行くわ!」
ナーザは大天使にお礼を言い、イマとデルタが待つ王間へと駆けていった。
「あっ、ナーザ紙袋忘れてる」
「ナーザの部屋にでも持って行ってやれ」
「はぁーい」
シンリは渋々、ナーザの部屋へと歩き出した。