見習い天使と勇者たち

13歳の少年


「…すっごーい!!」

ナーザはミレリィアに来てとても驚いた。 そう、辺り一面はのどかな草原。そして雲一つない晴天…。

「やっぱり何処も下界は青いわねー」

ナーザの住む天界はいつも星空だった。 一番目に行った下界では、周り人がたくさんいるにも関わらず「あっおーい!明るーい!!」と叫んでいた。

「"力ヲ有スル者"は何処かしら?この様子だと"下界ノ者"は生き残ってるかもね」

独り言をブツブツ言いながら、まずは少し遠くに見える城を目指す事にした。

「ん?」

飛ぼうとしたその時、草原の一角から殺気を感じた。

「早速お出ましかしら?ふふふ…」

ナーザは不気味な笑みを浮かべながら、腰に掛けた鞘から剣を抜いた。

その瞬間、草原から狼のような、または狐のようなバカでかいモンスターが飛び出してきた。

「あはは!でっかーい!!」

ナーザは笑いながら、最初の一撃を見事に交わし、モンスターを叩き斬った。

グギャアアァァア!!と悲鳴のような叫びと共にモンスターは蒸発した。

「これが"力ヲ有スル者"…モンスターか。蒸発するのかー」

そんな事を言っていると、次々とモンスターが飛び出してきた。

「ヤバ…これは流石に多いって!」

寸の所で攻撃を避け、剣で攻撃を受け、ナーザは防戦一方になってしまった。

「うわ…!!」

後ろからいきなりモンスターが襲いかかってきた。

(デルタ姉ごめんなさい、私はここで死ぬようです!)

そんな事を思いながら、固く目を瞑った。

しかし、いくら待てど攻撃は来なかった。 ナーザはゆっくり目を開けるとそこには、蒸発していくモンスター。そしてその後ろには…。

「甘い」

黒髪の少年が剣を持って立っていた。
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