ひきだしから、男子!

 目を見ればわかる。

 彼は蒼白い炎のよう

 に怒っている。

 泣くほどに感動して

 もらえるような事態

 ではない。

 「早く行こう、
     双葉さん」

 爽やか仮面のひび割

 れた笑顔に、牡丹は

 ゾーッとした。



  学校から離れる

 と、案の定、彼は笑

 みを消した。

 「双葉さんでしょ、

 あの雑誌いれたの」

 晴れ渡った空を背に

 彼は冷笑を、浮かべ

 る。畑山は背が高

 い。ずももーんと迫

 りくる影が、牡丹を

 おおう。

 「ちがうちがう」

 冷や汗を流しながら

 牡丹は首をふる。

 「とぼけんなよ。

 あのさ、俺なんかや

 った? なんでつき

 まとってくんの」
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