ひきだしから、男子!
「なにも……
やってないです」
小さな声で答える。
畑山は苛立ったよう
に舌打ちした。
「じゃあ何調べよう
としてんだよ、弱み
でも、握りたいのか
よ」
「何も、
調べてないです」
「本屋のおっさん
に、俺のこと聞いた
っていうじゃん」
ギクッ。
彼女は
肩を波打たせ、
一歩さがった。
畑山の目は怒りのあ
まりに潤んでいる。
血管の浮きあがった
彼の手が、ぶるぶる
と震えながらのびて
くる――。
Bが畑山をぶん殴っ
た。
殴られるかもしれな
い恐怖で、動けなく
なっていた牡丹を引
っぱり、
駆けだした。
牡丹は必死に足を動
かした。靴が脱げそ
うになる。
咳きこみながら彼に
ついていく。