ひきだしから、男子!

 あと少しでうちだ。

 あと少し、

 あと少し。 

 でもBは速すぎる。

 ついていけなくなっ

 て、派手に転んでし

 まった。

 畑山がすぐに追いつ

 いてきた。

 「早く立て!」

 「消してよッ」

 牡丹は、ぜえぜえし

 ながら叫ぶ。

 「あ、そうか」

 追いついてきた畑山

 は、鋭い目で周囲を

 うかがった。

 閑静な住宅街。身を

 隠せそうな軒先をの

 ぞいては、首をひね
 
 る。

 やがて諦めたように

 帰っていった。

  明日からどうしよ

 う。みんなの前で消

 えるわけにはいかな

 いし、いつまでも逃

 げ続けるのは無理だ

 ろうし、何か考えな

 いと。
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