ひきだしから、男子!

 「なんかかんちがい

 されてたみたい」

 空が鳴っている。

 薄墨色の雲に、

 稲妻が走る。

 音の間隔が段々せば

 まってくる。強い風

 が窓の外で唸ってい

 る。

 透が大きな目を近づ

 けてきた。

 空が光る。

 「畑山君、

 いつも牡丹ばっか

 見てんだよ」

 「知ってるよ。

 怖い顔ででしょ」

 殴られそうになった

 時の恐怖がよみがえ

 る。

 牡丹の中でBと畑山

 は別人だ。Bにもっ

 ていた好意を畑山に

 抱くことは、できな

 い。

 「ちがうよ。

 いっつも話しかけた

 そうにしてるんだ

 よ。さっきだって見

 てたよ。あたしずっ

 と見てたんだから。

 両想いみたいだか

 ら、あきらめようと

 思ったのに……」
< 163 / 200 >

この作品をシェア

pagetop