ひきだしから、男子!

 帰り支度を整え、

 苦笑まじりに教室を

 あとにした。


  頭上をおおうどす

 黒い雲から、そこか

 ら吐き出されている

 とは信じられないく

 らい透明の液体が降

 ってくる。

 銀色の光が牡丹の傘

 に牙をたてては散っ

 てゆく。

 雷が時おり、雲にひ

 びをいれる。

 帰路を

 たどりながら、牡丹

 はBのことを思い出

 す。

 ビンタ合戦や野菜戦

 争を思い出す。

 「レタス、ね」

 小さく呟いて、

 くすっと笑う。目頭

 が熱くなった。

  もう、会えないん

 だなあ。

  英語の時間、

 暇潰しに電子辞書で

 遊んでいた。

 強迫観念を調べてみ

 て、意味に納得し、

 そのついでになんと

 なく『ちさ』と、打

 ってみた。
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