ひきだしから、男子!

 「葉牡丹って

 キャベツの一種

 なんだって」

 もそもそと電柱に

 語りかける。

 「キャベツって、

 あんがい、

 いい奴だよな。

 うん。

 ちょっと

 かわいいと、

 思うんだ」

  なにを言ってるん

 だこの人は。

  牡丹は、十字架を

 握るように傘の柄を

 にぎりしめる。

 彼を無視して家に入

 りたいが……なんか

 怖くてできない。

 「レタスのこと、

 どう思う?」

 彼は上目遣いに牡丹

 を見た。

 「おいしいん
    じゃない?」

 「そっか」

 彼は、きらきらと笑

 った。牡丹は息を止

 めて、その笑顔に見

 とれてしまう。

< 167 / 200 >

この作品をシェア

pagetop