☆空色の傘☆【完】


俺と蒼は隣の中学だが、卒業式は市内で同日だった。


覚悟を決めた夜、俺は蒼にメールした。


『明日、卒業式が終わったら会いたい』って。


『式が終わったら花宮駅前のマック』が返事。


その日は卒業式前日にも関わらず、そのことは完璧に頭から消えていて、『何て言えばいいのか』グダグダ考えてて…ほとんど眠れなかった。


☆☆☆


「先輩っ、第2ボタン下さい」や「好きですっ」なんてのを全て振り切り、ダチと写真を撮ったり先生に挨拶に行ったりして、最後の中学を充分楽しんでから駅前マックに向かった。


ちょうど、『着いたけど、めちゃ混み』とメールが入り『なら、店前で待ってて、昼は他にしよう』と打ちながら急いだ。


「空く~ん!!」


元気な、でも少し甘い優しい声で俺を呼ぶ。


注目される二人。


手を上げて返事代わりにし、人波を避けながらやっと蒼の前に着く。


「空くん♪卒業おめでとう♪」


いつもにも増してキラキラの笑顔で迎えてくれて俺もついつい穏やかに笑顔になる。


「おぅ、サンキュー、
蒼も、卒業おめでとう」


「うんっ、ありがとう!!
もう、たくさん泣いて目が痛いぃ~」


見れば目の回りは真っ赤で、瞳はまだウルウルしてる。


「フッ…蒼、それ以上擦るなよ?
明日、腫れるぞ~
あ、ミスドなら入れそう、
いい?」


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