☆空色の傘☆【完】
秋のことがあったからか、ドキッとしたが出てみると…「麗香が、目を覚ましたんだ!!」といきなりの大声。
でも、最高のニュースだから、そこは言わないでおいてやって、「やったな!おめでとう!!」と伝えた。
聞けば大晦日に自宅に戻れるらしく、記憶もちゃんとあるって教えてくれた。
そして、信じられない話だが、あのX'masパーティーのとき、みんなの声が微かに聞こえ、ぼんやりと見ていた気がするといったらしい。
ミサンガを見たら泣いて喜んでたって。
年が明けてから学校が始まる前に、会えるように、七瀬さんのお母さんに話をしてくれると約束してくれて、電話は切れた。
普段もみんなの盛り上げ役で、テンションは高い方だと解ってたけど、今までしゃべったなかで一番のはしゃぎっぷりだったなと思う。
隣で耳に耳を寄せて聞いていた蒼は、人目も気にせずボロボロ涙をこぼしながら微笑んでいた。
「七瀬さん、良かったなぁ」
「うんっ、うんっ!
ほんと、良かった、うんっ…ウワァ~ァン…」
蒼を抱き寄せて、背中をさすってやる。
「良かったな?ちゃんと
みんなを覚えてるし…
無理しなきゃ普通に
生活していいらしいし…」
「ほら…帰るぞ…」
すっかり夜になった空を感じながら温かい心でうちに帰った。