☆空色の傘☆【完】
10☆
ちょっとした未来のこと
年が明けて5日に七瀬さんの家にお邪魔して、動いてる、しゃべってる、笑ってる七瀬さんを見てようやく、本当に『あぁ…帰ってきたんだ』なんて思った。
二時間ほどしゃべり、疲れるといけないからと失礼した。
蒼はなんだかコソコソ耳元で話をして笑顔になってから、七瀬さんから離れた。
心なしか七瀬さんの顔が赤いように感じた。
☆☆☆
新学期が始まり、1組内はお祭り気分だ。
七瀬さんの回復、登校をみんなで喜んだ。
「ほらぁ~席つけぇ~」
担任の川北も、言うことと表情がチグハグで笑える。
「三学期は短いっ!
クラス替えがあるから、
調査表は期日を守ること!!
進路で悩んでるやつは俺に
アポとって、数学教務室で面談な。」
そうだ…もう、1年生であっても将来に向けて決めなくてはいけないんだ。
蒼は文系かな、理系かな。
大学行くかな…
俺は…どうしたいんだ…?
☆☆☆
「なぁ、蒼…進路どうする?」
放課後の寒い冬空の下で温かい缶コーヒーとミルクティを手に持ちながら座るベンチ…
「私はね、専門か、家政科のある
大学かなぁ、だから、文系?
になるのかな?」
淀みなくスラスラと答える蒼に少なからず驚く俺…
なんだか、焦ってしまった。