☆空色の傘☆【完】
「亮一…今度は何…?」
普段から蒼以外の女子には、さっきのようにかなり冷めた態度をしてるのに、なんだって物好きなやつらは俺に寄ってくるんだ…。
俺と蒼が食べようとして弁当を置いていたのは俺の机の上だ。
そして、蒼は自分の椅子を俺の机まで持ってきていた。
蓋をしめて包んでいたナフキンを広げて弁当の上からかけて、席をたったはずだったが…
今、俺の机の上にはそれは見えない。
亮一は俺の席の横に立ち、少し険しい顔をしていた。
「あ~いや…こいつらがな…」
言われて亮一が向いたほうを見ると、学年もクラスも違う女子が3人、午前中に顔を見せていたやつらっぽかった。
注目を浴びた3人は肩を竦めて所在なさげにしている。
「俺らの弁当は…?」
蒼の腰を引き寄せたまま亮一や、周りにいるやつらみんなに聞くように声を出す。
「あぁ…それはほら…神崎さんの
椅子の上とか…」
少し動いて机で見えにくかった蒼の椅子の座面を見ると、そこには机から落ちたであろう、弁当箱が。
蓋が外れて中身が出てしまったのと、蓋はついているようだが、座面よりさらに下の床に、蓋を下にして落ちているものと、少し離れて箸やナフキンが見える。
「あっ、空~どうしよう~
上手く持ち上がるかな?
空のは蓋がしまってるよ、
あぁ~私、軽くしか閉めなかったんだよねぇ」