☆空色の傘☆【完】
俺は警官に止められることなく近づき騒然とした駐車場を見回す…
コンビニの入り口に近いところに蒼がうずくまっているのが見え、俺は慌てて駆け寄る。
「蒼っ?おい!どうした?
来たぞっ、助けにきたぞっ?蒼っ?」
「そ……ら…あ………
ぎゅ…て…」
左肩を下にして両手をお腹にあてて背中を丸めながら横になる蒼を、膝をつきまたがるようにしながら上からそっと抱き締める。
そして、コンクリが赤黒く濡れているのを見ないようにしながら、蒼の髪やこめかみにキスをする。
「蒼…プレゼントがあるんだ…
今日は…誕生日だろう?」
「……ん…」
うっすらと開けた目を揺らしながら俺をとらえようと探している。
目の前、1㎝位まで近づいて「ここだ、俺は傍にいるから」と頬にもキスする。
ほんの少し微笑んだ気がしたが正直、よくわからなかった。
急に回りがうるさくなった感じに少しだけ頭をあげると、救急車が到着して隊員がストレッチゃーを押しながらこちらへやって来た。
またがっていたのをどいて、蒼の背中側に座り込み背中や髪を撫でて、『ここに居る』と伝えた。
「神崎さ~ん、分かりますかぁ?
お名前、言えますかぁ?」
☆☆☆
俺は蒼に付き添い救急車で病院へ行き、陸也は親に連絡をしながら、タクシーで追いかけると言った。