☆空色の傘☆【完】
「素敵……」
その並んだリングを見つめながらうっとりと呟く。
「俺ら、モデル頑張ったしな」
照れ臭くてそんなことを言ってみた。
俺がプレゼントに用意したのは、あるブランドのラブリングシリーズらしく、少し幅のあるもので、LOVEの文字が飾り文字のように周囲にある。
そして、誕生石がOの文字に埋め込まれている。
裏には蒼の誕生日と互いのイニシャル。
幅があるので存在感があり、いかにもつけてますって分かるが、俺はそれが良かった。
蒼は俺の彼女で、これからもずっと一緒だと、自分にも蒼にも、そして世界中にも、示したかった。
蒼は掲げてみたり、手を返してみたりクルクルいじってみたり…
でも、外さないから裏は見ていない。
「裏にはさ、蒼の誕生日と、
お互いにイニシャルな、
見てみたら?」
「ううん、いいの。
空に初めてはめてもらったリング、
そう簡単に外せない。
外したくないの。」
慈愛の微笑みをたたえながら左手を包み込む蒼を、見ているだけで俺も至福の時を味わった。
☆☆☆
「なぁ、蒼…ケガの話…
聞いたか?」
夕飯間近の夕暮れ時、俺は意を決してついにその話題を出した。
蒼はハッとしながらも、聞かれるだろうと予想はしていたようで、揺れる瞳で頷いた。