☆空色の傘☆【完】


「……ぅん…昼に、ね…」


「そっか…
蒼は、素直に、どう、思ってる?」


天井を見つめたまま、しばらく黙る。


俺は蒼のことを静かに待った。


2、3分なのか、10分、1時間なのか、感覚がない。


「わたし…子供…無理かもって…」


そう話し出した蒼の表情は、読むことは出来なかった。


「私ね、小学生のとき、
陸也のお陰で命が助かったでしょう。
だから、この命、生きていることに
意味があるって、思いたい…」


そこで言葉を切って、俺の方を見ながらリングのある左手を俺に差し出してくる。


俺は当然のようにその手を握る。


「私は…生きていたい。
全力で、空と生きていたい。
苦しみも悲しみも、全てと、
全力で向き合いたいよ…
空の、空の隣で……」


「それで、空とっ…
幸せに…なりたいっ…よっ…!」


目尻から枕に次々に涙が吸い込まれていく。


空いている右手でその涙を拭うけど、止まらない。


「おまっ…泣きすぎ…
それに、そんなん、当然だろぅ?
今さらだろ?」


繋いだ左手に力を込めながらわざと強気に言う。


でなきゃ、俺まで泣きそうだった。


蒼が落ち着いてきたので俺は自分の思いを伝えるべきだと思った。


「蒼、俺はさ、もしかしたら…」


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