☆空色の傘☆【完】
しばらく、着ていたシャツがビシャビシャになっても繰り返し洗う俺を見て、漸く蒼が口を開いた。
「空?口が切れちゃうよ?
ほら、シャツもビッショリだし…
訳を話してくれたら、私、きっと
理解できる。だって、大好きな
空のことだもんっ!!」
優しい、でも力強い声でちゃんと笑顔で言ってくれてようやく、俺は冷静になってく。
「うん、話す…
でも、その前に上書きさせて?」
首をかしげる蒼をふわっと抱き寄せ、触れるだけのフレンチキスを数回、リップ音を着けながら繰り返す。
照れながらもちゃんと答えてくれる。
そして、最後に深いキスを1回…
トイレから出ると、騒ぎの元の女も、クラスメイトの中谷さんも、仲間もみんな居なかった。
俺達はベンチに座り、さっき蒼が落とした飲み物を飲みながら全てを話す。
「そっかぁ、実可ちゃんのお姉さん…」
「ああ言われたけど、なら、尚更、
私達はちゃんと幸せになろうね?
試練には負けませんっ!!」
話を聞いてから、蒼は拳を握りながら何だか鼻息も荒く宣言して、俺をホッとさせてくれた。
こんなことには負けない。
何があっても、嫌いになんてならない。
また、気持ちを強く持つことを再確認した、放課後だった。
クラスメイトの中谷さんは、まさか、こんな事になるとは知らず、姉に聞かれるままに話をしていたらしい。
だから、私達はこれからも友達、と蒼は笑顔で言って益々中谷さんに引っ付かれていた。