☆空色の傘☆【完】


☆☆☆


「蒼~、この作業って箱は?」


「あ、それはソファの側に置いといて?
文化祭用の髪飾りなんだぁ」


「りょ~かい」


……………


………





「つ、かれ、たぁ~」


夜10時過ぎ、ようやく二人して風呂も済ませて一息ついた。


二人掛けの小ぶりなソファに並んで座り、俺は左手で蒼の肩を自然に抱き寄せた。


「明日から…二人…だね?」


「あぁ……だな」


これからの生活にたいしての楽しみと期待、そして不安。


うまく話せなくて無言で部屋を何となく見回す。


「ねぇ、空?
私ね、あんまり家事は得意じゃない、
と思う…普通にお風呂掃除とか
洗濯とか、出来るけど
お母さんみたいには
手際がよくない…」


「そりゃそうだろ?
あっちは何年も主婦してんだ、
比べるのが間違ってる。
俺も、たいして力にならないけど
協力するから、なっ?
二人だ、いつも。
一人だけでやった気になったり、
やりきろうとしたりは無し!
分かった?」


しんみりと何を言い出すかと思えば、日常への不安。


急に大人の世界へ近づいた俺たちは、不完全だし、未熟だ。


だから、それをちゃんと分かってたら、支え合いながらきっと、やっていけると思うんだ。






< 192 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop