☆空色の傘☆【完】
☆☆☆
「蒼~、この作業って箱は?」
「あ、それはソファの側に置いといて?
文化祭用の髪飾りなんだぁ」
「りょ~かい」
……………
………
…
「つ、かれ、たぁ~」
夜10時過ぎ、ようやく二人して風呂も済ませて一息ついた。
二人掛けの小ぶりなソファに並んで座り、俺は左手で蒼の肩を自然に抱き寄せた。
「明日から…二人…だね?」
「あぁ……だな」
これからの生活にたいしての楽しみと期待、そして不安。
うまく話せなくて無言で部屋を何となく見回す。
「ねぇ、空?
私ね、あんまり家事は得意じゃない、
と思う…普通にお風呂掃除とか
洗濯とか、出来るけど
お母さんみたいには
手際がよくない…」
「そりゃそうだろ?
あっちは何年も主婦してんだ、
比べるのが間違ってる。
俺も、たいして力にならないけど
協力するから、なっ?
二人だ、いつも。
一人だけでやった気になったり、
やりきろうとしたりは無し!
分かった?」
しんみりと何を言い出すかと思えば、日常への不安。
急に大人の世界へ近づいた俺たちは、不完全だし、未熟だ。
だから、それをちゃんと分かってたら、支え合いながらきっと、やっていけると思うんだ。