☆空色の傘☆【完】


「やだ…」


布団を被ったまま反抗してみる。


「あっそ…じゃあ、行ってきまぁす…」


わざとらしく声を上げながら部屋から出ていく蒼。


「しょうがねぇなぁ…」


俺はさも、致し方無いって感じに起き上がる。


「フフッ」


声の方を見ると、ドアの所に体を寄せながら、優しい蕩けるような笑顔の蒼が居た。


「なに、ニヤついてんの?」


見るからに幸せの塊な蒼に、わざとらしく言ってみる。


「だってね、空の傍にいられて、
空の寝起きを見て、
ともかくめちゃめちゃ
幸せなんだもんっ!」


照れながらも本心をさらりと言ってしまう蒼に、今度は俺が恥ずかしさで赤面する。


「恥ずっ……」


思わず呟いた言葉は、蒼の現実的発言により、あっという間に、破棄された…


「ごはん、片しちゃうよぉ…」


………


☆☆☆


7:30に家を出て登校すると、ちょうどいい具合に学校についた。


「蒼、電車疲れなかったか?」


クラスに入りながら聞く。


「うん、大丈夫」


そう答えてニコッとする。


そこにまたまた中谷さん。


「おはよう♪蒼さん」


「おはよう~実可ちゃんっ♪」


挨拶が済むと少し真面目な顔になり、「お昼休みに二人に大切な話がある」と言う。


俺らが夏休み前に絡まれた、中谷さんの御姉さんのことだと、感じた。




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