☆空色の傘☆【完】


「なぁ~そらぁ~
頼まれてくんないかなぁ」


後ろにあおいを連れて近づいてきた。


「何?俺、もう帰るよ…」


何でだか知らないけど、クリクリした瞳で俺をじぃ~っと見つめるあおいを、見つめ返しながら言う。


「だからさ、あおいと一緒に花宮町まで
帰ってやって欲しいんだ、だめかな?」


『一緒に?』


その言葉を聞いた途端に、心臓がハンパなくドクドク速くなった。


「陸也は?帰んないの?」


「おぉ、金曜だし俺はまだ残りたいんだよ、
でもこいつ、お前とおんなじで、
青峰受ける受験生なんだよ、
今月から門限10時にされちまってさ」


そういいながらあおいの両肩を持ち、ずずっと俺の前に立たせる。


「あのっ!!いきなりでごめんなさい!!
でも、迷惑でなければ兄の代わりに
一緒に帰るの、お願いしますっ!」


あおいは勢いよく頭を下げながら、頼んできた。


そしてひとつ、気になる単語を言った。


『兄』と…。


「…わかった、送る…」


無性にあおいを知りたくて、話ながら帰れば、いつも感じていたイライラや、何故か探して見てしまう自分のことも分かる気がして了解した。




< 3 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop