☆空色の傘☆【完】
「なぁ~そらぁ~
頼まれてくんないかなぁ」
後ろにあおいを連れて近づいてきた。
「何?俺、もう帰るよ…」
何でだか知らないけど、クリクリした瞳で俺をじぃ~っと見つめるあおいを、見つめ返しながら言う。
「だからさ、あおいと一緒に花宮町まで
帰ってやって欲しいんだ、だめかな?」
『一緒に?』
その言葉を聞いた途端に、心臓がハンパなくドクドク速くなった。
「陸也は?帰んないの?」
「おぉ、金曜だし俺はまだ残りたいんだよ、
でもこいつ、お前とおんなじで、
青峰受ける受験生なんだよ、
今月から門限10時にされちまってさ」
そういいながらあおいの両肩を持ち、ずずっと俺の前に立たせる。
「あのっ!!いきなりでごめんなさい!!
でも、迷惑でなければ兄の代わりに
一緒に帰るの、お願いしますっ!」
あおいは勢いよく頭を下げながら、頼んできた。
そしてひとつ、気になる単語を言った。
『兄』と…。
「…わかった、送る…」
無性にあおいを知りたくて、話ながら帰れば、いつも感じていたイライラや、何故か探して見てしまう自分のことも分かる気がして了解した。