☆空色の傘☆【完】
「っし!!サンキューなぁ、空。
じゃあ、あおい、空に迷惑かけんなよ?
家に着いたらメールじゃなくて
ちゃんと電話しろ、分かったな?」
そう言いながらいつものように頭を撫でるのを見たが、今はイライラしない…
「うんっ!!陸ありがとっ♪」
そして、また俺を見つめながら言う。
「改めて、わたし神崎蒼、草冠に
倉、倉庫の倉って書く字一文字で
“蒼”です、どうぞよろしく♪」
そう自己紹介して、右手をサッと出してきた。
反射的に自分も右手を出して握り返しながら名乗る。
「俺は神木空、この、上の“空”
一文字ね」
と、夜空を指差しながら言う。
「うわぁ~いいなぁ~
わたし、空大好きっ、キレイだよねぇ」
ものすごい笑顔で『空大好き』とか…
俺のことじゃないって分かってるはずなのに、尋常じゃないほどのドキドキ感。
誤魔化すため、『行こう』と声をかけて歩き出す。
蒼は周りのみんなに「さよならぁ~」と言ってタタタッと俺に駆け寄り直ぐ後ろを歩き出す。
チョコチョコっと着いてくる感じが、振り向かなくても足音でわかってしまって、何だか可笑しかった。