☆空色の傘☆【完】
どちらがモテる?その2
梅雨はまだらしいが、今日は朝から雨。
待ち合わせの駅にはまたあの空色傘を持って待ってる蒼。
今日はさすがに俺も傘をさしてる。
因みに色は黒。
なんの飾りもない、シンプルな、親が勝手に買ったもの。
「おはよう♪」
蒼の元気な声でまた1日が動き出した。
「なぁ、蒼。
なんでその色の傘なんだ?
なんか、お前なら白の可愛いのとか、
もっと女子らしいっての選びそう。」
指摘された傘をチラリ見上げてから俺をみる。
「だって、初めて空と公園で会った
夏の日の空の色だし…
それに、私は空に包まれてるみたいな
この空間が好きなんだもんっ」
そう笑顔を向けてから傘を肩に乗せて隠れるようにする。
「おまっ…‥」
嬉しくてしかたないけど、傘が邪魔で近づけなくてもどかしかった。
「すげぇ嬉しい…ありがとな。」
「うんっ!!」
少し屈んで傘の中を覗き込みながら言うと、照れた顔の蒼が嬉しそうにニコニコしながら返事した。
そんな理由で選ばれた傘の色だと分かって、単純に納得した。
蒼の心の奥ではもっと思い入れがあったことは、気がつかなかった。
それから並んで歩き校舎に入った。