☆空色の傘☆【完】


☆☆☆


靴箱がないから入り口はスッキリしてる。


で、定番の靴箱に手紙ってのは、出来ない。


だから、俺らの学校での呼び出しとかの手紙や贈り物は、机に直接入ってたり、鍵のかからない教室の後ろにあるロッカー(上部がコート架け、下部は体育シューズなど入る棚)に置いてある。


今朝は俺のロッカーと蒼の机、それぞれに手紙があった。


まだ担任はこない。


蒼と一緒に教室の隅で開けて読んでみる。


『神木君、昼休みに体育館横の桜の木に来てください。お伝えしたいことがあります。1-4野中静穂(のなかしずほ)』


『神崎さん、好きです。付き合ってください。返事を聞きたいから昼休みに桜の木にお願いします』


二人して顔を見合わせる。


「桜の木…おんなじだね…」


無意識にポロっと言ったみたいで返事は促されなかった。


「なんか、嫌だな…これ。
わざと…じゃねぇよなぁ?」


なんかいろいろ勘ぐってしまうけど、蒼の方は誰だか分からないから、行くしかない。


俺は内容が分からないから、いきなり断ることは出来ない。


どうしたって、1度は向き合うことになる。


☆☆☆


昼休み、弁当を食べ終わり二人で手を繋いで体育館横に向かった。


すっかり葉桜になった桜の木が3本あって、そこの右と左の1本ずつに男女がそれぞれ立っていた。
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