☆空色の傘☆【完】
だんだん可愛くなり、異性として見られる妹を守るのも兄、陸也の大切な使命だった。
1度は6年の男子にからかわれていた蒼を守るため4対1のケンカをして、大ケガをして帰宅。
でも、それからは小学生に有りがちな『好きだから意地悪する』パターンでの、上級生からの、からかいは蒼にはなくなったそう。
そうやって、二人は固い絆で繋がりあう兄妹だったと、懐かしそうに嬉しそうに話す蒼だった。
そして、夏休み。
その年の7月最後の日曜にある、地元では結構大きな花火大会も、当然、陸也は友達+蒼で行動していた。
浴衣をきて、下駄をはいた蒼は可愛らしく、一緒にいると友達が陸也をからかう。
それでも嬉しさが勝り、手を繋いで花火が見える河川敷へ向かう。
でも、その年はちょうど35周年記念大会と銘打っていて、いつもより花火の数も多いと宣伝されたため、いつにも増して人が多かった。
蒼は必死に兄についていくが、元から小柄な蒼は完全に体が陸也から見えなくて、かかる圧力にとうとう堪えきれず、繋ぎ直すつもりで、陸也がほんの一瞬…指を浮かせたら…
もう……‥‥
蒼の姿も、繋いでいた手も…分からなくなってしまったんだそうだ。
兄から手が離れた蒼は大きな声で『陸也』を呼ぶが、かき消されてしまった。