☆空色の傘☆【完】
「あぁ~達馬もダメかぁ~」
誰かがそう、呟いたのがやけに大きく聞こえた。
頭を思いきり下げた蒼は、パッと頭を上げると今度は小走りに、何か言われてるのを無視して(「待って」とか、「話そう」とか…聞こえた)陸也に向かって一直線。
そして、胸にドンッと当たって止まった…。
「陸ぅ…わたし…駄目だよぉ……」
「泣くな…蒼。空がみてんぞ?」
そう聞くと、バッと顔をあげてその眼差しが俺をとらえる。
「空…」
小さく呟いた蒼は、目を思いきりこすり言った。
「陸…今日は帰る…
……みんな、バイバイ…」
結局俺とは一言も話さないまま帰った蒼。
そして、それから蒼は公園に来なくなった。
陸也に聞いても「さぁ、知らねぇ」って素っ気ない。
メールしてみたが、当たり障りのない会話だけ返信されてくる。
3月になりもうすぐ卒業式って頃、公園に蒼が来た。
そしてニコニコしながら達馬に近づき、「これからは同じ学校の友達でいてくださいっ!」
と響く高い声で、右手を差し出し頭を下げて言った。
達馬は…
「当たり前…よろしくな」
手を握り返してほんの少し微笑んでた。
「ありがとう~インフルになって、
なかなか来られなくてさ、
遅くなってごめんね?」