☆空色の傘☆【完】
☆☆☆
「神木君っ♪また会えたねっ!!」
ふと、目の前に影が出来たなぁと思った瞬間にそんな声がした。
もう…顔をあげなくてもわかってしまい、イライラした。
そして、隣で蒼が体を微かに揺らしたのも分かった。
今日だけ、今だけ我慢してやり過ごせばいいんだけど…
さっきは蒼のお陰で騒ぎを起こすこともなかったけど…あまりのしつこさにもう、限界だった。
「蒼…さすがにもう黙って
らんないや…せっかくさっきは
止めてくれたのに、ごめんな?」
わざと、イチャつき蒼の耳元で触れたり舐めたりしながら、そう言うと…
「…んっ…くっ…わか、っぁ…た…」
くすぐったそうに照れて我慢しながらも、体はピッタリつけたままで、俯いて俺に抱きついてる。
蒼から顔をはなすと、嫌だったけどそいつのほうを向いてみた。
「あ…えっと…か、神木、くん
あたし、さ?あの時は、ね、」
顔を赤らめながらそれでも、まだ、自分に自信が余程あるのか、駆け引きをするように、上目遣いで首を傾げて…
「なんか、よく、わかってなかったってか、
今ならね、神木君の、素敵さが
ちゃんと解るって自信あるしぃ、
また、あたしと、どうかなぁ、とか…」
つくづく馬鹿馬鹿しくなり、俯いていた蒼の顎を指であげて、『チュッ』っと、リップ音つきでキスをする。