☆空色の傘☆【完】


「麗ちゃん、今日のデザートはなんと!
行こうねって話してた
ルーチェのプリンなんだよぉ~
ほらぁ、いい香りがするよぉ♪」


蒼はひとさじすくい、七瀬さんの鼻先に持っていく。


そして、パクッ自分で食べてしまった。


「ん~~!!美味しいぃ♪
麗ちゃんも食べたいでしょ?
待ってるからね…」


優しい眼差しで段々と声を小さくしながら話す蒼。


亮一は点滴のない左手を繋いだまま、愛しそうに見つめていた。


「麗香…文化祭の写真
できたんだ、麗香と酒井が写ってる…」


三浦さんは話ながら枕元に写真を置いた。


そこには笑顔で亮一と写ってる七瀬さんがいた。


☆☆☆


それからも時間がある日は病院に通った。


亮一は七瀬さんのハキハキした明るいところが、自分の会話のテンポにあってとても楽で楽しいんだと話してくれた。


素な、カッコつけしない俺にもガッカリしないでいつも変わらずにしてくれるから、付き合い始めたんだとも。


事故のとき、『忘れ物』と言われたが、現場にあった七瀬さんの荷物には、亮一のものはなかったらしい。


何を亮一に渡したかったのだろうか…


もうすぐ季節が冬にかわろうとしている。


早く目を覚まして…



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