☆空色の傘☆【完】


☆☆☆


その日は年末を控えていてなんとなく騒がしかった。


テストも終わり、X'masをどうするかなんて話題ばかりの教室で亮一はマナーモードのスマホをボーッと眺めていた。


いつ、病院や七瀬さんの家族から連絡がくるか分からないから、手放せないと言ってた。


☆☆☆


放課後、蒼と二人で病院へ行った。


病室の前の廊下で亮一が頭をかかえこみしゃがんでいた。


なんだか様子がおかしくて、病室に入る前に声をかけた。


「おいっ、亮一、
お前中に入んないのか?」


直ぐ側までいくと、泣いている…?


もう一度かけようとした声が、出てこなかった…


『ガラッ』


音がしてドアが開いた。


七瀬さんのお母さんと医師。


「あっ…蒼ちゃん。
ちょうど、よかったわ…あのね…
先生とも相談して…病院を変わることに
決めたの…」


蒼と二人、驚きで声が出せなかった。


「ここはね、長期入院が難しい
病院で…こちらよりも麗香に
適したところにベッドの空きができたと
連絡をもらったの…
急な話しで…」


チラリと亮一を見ながらまた続ける。


「みんなにはよくしてもらったのに
申し訳ないけど、今度の日曜に
転院するから。」


「あ…あのっ…どこ、に…?」


「あ、えぇとね…S県の海の近くよ…」





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