文系女子と体育会系男子
始まり
「正反対の、二人」
春。
満開の桜が、新入生を歓迎するアーチのようだった。
私・・・斎藤麻子は、そんな桜のアーチを抜け、体育館へと向かう。
今日はここ、向井沢高校の入学式。私もこれから、この学校の仲間入りをするわけで・・・。
と言っても、安い少女漫画のように青春時代を謳歌しようとか考えているわけではなく、ただ可も無く不可も無くのような感じで居ようと思っていた。
まさか、私がその安い少女漫画のような青春的なものを味わうことになるとは・・・
今の私には、想像もつかなかった。
入学式が終わり、クラス表が貼られていたので見に行くと、1年4組・・・そこが私が一年間お世話になるクラスのようだ。
ときどき迷いつつも、無事に遅刻することもなく教室へと着いた。
中へ入ると、一番に目に入ったのは自分の席であろうところで女子に囲まれているイケメン(女子に囲まれているということはそうなのだろう)男子だった。
その男子は少し困惑しているような様子ではあったけれど、スルーした。あまりああいうチャラそうな人とはあまり関わりたくなかったから・・・
私とは関係ありませんように、と祈りつつ黒板に貼ってある座席表から自分の名前を探した。
「斎藤・・・斎藤・・・あ、あった」
後ろを振り返り、席を確認して、私は愕然とした。
何故か?
隣が、先ほど女子に囲まれていた男子だったからだ。
それから。
私はなるべく隣と関わり合いを持たないようにしよう、と誓った。
だが、
その誓いはすぐ無駄になったのだった。
「ねぇねぇ、えっと・・・斎藤、さんっすよね?」
見た目に似合わずいかにも体育会系な口調に拍子抜けしたが、話しかけられたからには、無視するわけにもいかず・・・
女子に目をつけたりされたくなかった、ってのが一番だったが。
「・・・はい、そうですけど」
「俺、佐々木亮!よろしくでっす!」
テンション高いな、というのが一番の感想だった。こういう人はテンションが高いのが当たり前なのだろうか?
隣同士だから、そこまで険悪な雰囲気にしない方が無難だろう。
「・・・斎藤、麻子です」
「んっ、よろしくね、麻子っちゃん!」
そう言って、彼・・・佐々木、と言ったか、佐々木はにっこりと笑った。
どこか犬っぽく見えるのは気のせいだろうか・・・
高校入学。それとなくかっこいいようなこの言葉を体験し、新学期初っ端から男子にあだ名で呼ばれるはめになるとは、まさか夢にも思わなかった。
満開の桜が、新入生を歓迎するアーチのようだった。
私・・・斎藤麻子は、そんな桜のアーチを抜け、体育館へと向かう。
今日はここ、向井沢高校の入学式。私もこれから、この学校の仲間入りをするわけで・・・。
と言っても、安い少女漫画のように青春時代を謳歌しようとか考えているわけではなく、ただ可も無く不可も無くのような感じで居ようと思っていた。
まさか、私がその安い少女漫画のような青春的なものを味わうことになるとは・・・
今の私には、想像もつかなかった。
入学式が終わり、クラス表が貼られていたので見に行くと、1年4組・・・そこが私が一年間お世話になるクラスのようだ。
ときどき迷いつつも、無事に遅刻することもなく教室へと着いた。
中へ入ると、一番に目に入ったのは自分の席であろうところで女子に囲まれているイケメン(女子に囲まれているということはそうなのだろう)男子だった。
その男子は少し困惑しているような様子ではあったけれど、スルーした。あまりああいうチャラそうな人とはあまり関わりたくなかったから・・・
私とは関係ありませんように、と祈りつつ黒板に貼ってある座席表から自分の名前を探した。
「斎藤・・・斎藤・・・あ、あった」
後ろを振り返り、席を確認して、私は愕然とした。
何故か?
隣が、先ほど女子に囲まれていた男子だったからだ。
それから。
私はなるべく隣と関わり合いを持たないようにしよう、と誓った。
だが、
その誓いはすぐ無駄になったのだった。
「ねぇねぇ、えっと・・・斎藤、さんっすよね?」
見た目に似合わずいかにも体育会系な口調に拍子抜けしたが、話しかけられたからには、無視するわけにもいかず・・・
女子に目をつけたりされたくなかった、ってのが一番だったが。
「・・・はい、そうですけど」
「俺、佐々木亮!よろしくでっす!」
テンション高いな、というのが一番の感想だった。こういう人はテンションが高いのが当たり前なのだろうか?
隣同士だから、そこまで険悪な雰囲気にしない方が無難だろう。
「・・・斎藤、麻子です」
「んっ、よろしくね、麻子っちゃん!」
そう言って、彼・・・佐々木、と言ったか、佐々木はにっこりと笑った。
どこか犬っぽく見えるのは気のせいだろうか・・・
高校入学。それとなくかっこいいようなこの言葉を体験し、新学期初っ端から男子にあだ名で呼ばれるはめになるとは、まさか夢にも思わなかった。