空色の瞳にキスを。
首を傾け笑う仕草の隙間から、短くもなく長くもない髪の長さが伺える。
ひとしきり笑った後、ナコと呼ばれた男がこちらに寄越した瞳の色は紅。
ルグィンの背に隠れて見たその色に、同じような瞳の色をした人を少女は心の内で思い出す。
「お、そっちの女は知り合いか?」
「…あぁ。」
「…こいつはファイ。」
話しながらルグィンがこちらへ振り向いたので、ファイはぺこりとお辞儀して笑いかける。
「ファイです。
こんにちは、ナコさん。」
にこりと笑う純粋そうな笑顔に、ナコも何かが軍人とは違うと心のどこかで感じた。
闇に染まった色の目と髪をした目の前の女はその姿に似合わずに澄んでいると、ナコは初対面ながらに思う。
─こいつ、心は真っ白だ。
紅い瞳は彼女の奥まで見透かすように彼女の奥底を見詰める。
「…ファイ、お前ってこいつとどんな関係なんだ?」
ナコが歩きながら問う。
「…俺の妹。」
幸せそうに小さく口元を上げるその仕草は演技か、否か。
ナコはじっくりと穴が開くほどルグィンを見ながら尋ねる。
「妹…?
病気がちのあの妹か?
違うよな?」
ナコの勘がそう告げている。
不治の病だと聞く妹の他に、ルグィンにはこれほど年の近い妹はいないはずだ。
─じゃあ、誰?
そんな思いで二人を睨んでも、ナコの思い通りに二人は答えてくれない。
「…。」
二人はナコから視線をはずして沈黙を決め込む。
「…違うだろ?」
ナコの2度目の同じ問いに、逃げられないと悟ったのか、ナナセは諦めて口を開いた。
「…ええ。当たりよ。
あたしは本当は違うわ。
だけど…ね。」
「演じてるって訳か。」
意味深に微笑むファイの言葉に、ナコが言葉を被せる。
黒髪の少女の笑顔はどこか影があって。
ナコの本能が薄寒い危険を感じる。
「そう。」
瞳を伏せて呟くように答えを紡ぐ彼女に、赤髪の改造人間はどこか恐ろしいと感じてしまう。
そしてもう日暮れの近い空を見上げてナコは言葉を返す。
「ならいいや。
こいつが珍しく人に興味を示しているから気にはなったけど、あんまりいい予感がしないからな…。
こいつが偽ってまでここに連れてきたんだ、何かがあるんだろ?」
ルグィンに向けられたナコの笑顔は瞳は全く笑っていない。
「まぁな。」
古い友人である少年に聞いても、ゆらりと濁されてしまう。
だから仕方なくナコは話題を変えた。
「…ファイ、俺のことは聞いているのか?」
ルグィンの背中に隠れながら歩く少女を振り返り、また問う。
「え、いいえ。
ほとんど知りません。」
申し訳なさそうに首を振る少女に、自己紹介を始める。
ひとしきり笑った後、ナコと呼ばれた男がこちらに寄越した瞳の色は紅。
ルグィンの背に隠れて見たその色に、同じような瞳の色をした人を少女は心の内で思い出す。
「お、そっちの女は知り合いか?」
「…あぁ。」
「…こいつはファイ。」
話しながらルグィンがこちらへ振り向いたので、ファイはぺこりとお辞儀して笑いかける。
「ファイです。
こんにちは、ナコさん。」
にこりと笑う純粋そうな笑顔に、ナコも何かが軍人とは違うと心のどこかで感じた。
闇に染まった色の目と髪をした目の前の女はその姿に似合わずに澄んでいると、ナコは初対面ながらに思う。
─こいつ、心は真っ白だ。
紅い瞳は彼女の奥まで見透かすように彼女の奥底を見詰める。
「…ファイ、お前ってこいつとどんな関係なんだ?」
ナコが歩きながら問う。
「…俺の妹。」
幸せそうに小さく口元を上げるその仕草は演技か、否か。
ナコはじっくりと穴が開くほどルグィンを見ながら尋ねる。
「妹…?
病気がちのあの妹か?
違うよな?」
ナコの勘がそう告げている。
不治の病だと聞く妹の他に、ルグィンにはこれほど年の近い妹はいないはずだ。
─じゃあ、誰?
そんな思いで二人を睨んでも、ナコの思い通りに二人は答えてくれない。
「…。」
二人はナコから視線をはずして沈黙を決め込む。
「…違うだろ?」
ナコの2度目の同じ問いに、逃げられないと悟ったのか、ナナセは諦めて口を開いた。
「…ええ。当たりよ。
あたしは本当は違うわ。
だけど…ね。」
「演じてるって訳か。」
意味深に微笑むファイの言葉に、ナコが言葉を被せる。
黒髪の少女の笑顔はどこか影があって。
ナコの本能が薄寒い危険を感じる。
「そう。」
瞳を伏せて呟くように答えを紡ぐ彼女に、赤髪の改造人間はどこか恐ろしいと感じてしまう。
そしてもう日暮れの近い空を見上げてナコは言葉を返す。
「ならいいや。
こいつが珍しく人に興味を示しているから気にはなったけど、あんまりいい予感がしないからな…。
こいつが偽ってまでここに連れてきたんだ、何かがあるんだろ?」
ルグィンに向けられたナコの笑顔は瞳は全く笑っていない。
「まぁな。」
古い友人である少年に聞いても、ゆらりと濁されてしまう。
だから仕方なくナコは話題を変えた。
「…ファイ、俺のことは聞いているのか?」
ルグィンの背中に隠れながら歩く少女を振り返り、また問う。
「え、いいえ。
ほとんど知りません。」
申し訳なさそうに首を振る少女に、自己紹介を始める。