空色の瞳にキスを。
いつまでも抱きついて離れてくれないファイの頭をスズランが軽く叩いて離れさせる。
「さぁ、皆いるみたいだし、自己紹介させてもらえるかしら。」
ファイが彼女から離れ、もう一度彼女を見上げると、視界の隅の違和感に気づく。
スズランの背後に見慣れない誰かがいる。
気をとられて返事をしたので曖昧な返事が出てしまう。
「あ、うん…。」
彼女の視線の先に気付いて、獅子の女がくすりと笑う。
「あれは誰だ。」
少しだけ棘のある黒猫の問いに、穏やかなスズランの声が返る。
「あぁ、あの人は大丈夫よ。
こちらの味方。
あとで紹介するわね。」
スズランが柔らかく笑うから、ファイは安心して頷く。
「はじめまして。
タチカワ・スズランよ。
年はそんなに違わないはずだから、スズランって呼んでくれたら嬉しいわ。」
偽りない笑顔がアズキとトーヤの二人に向けられる。
「闇医者を中心に商売をしているし、そこのお馬鹿さんのお姉さん役もやってるわ。
それからタチカワ家のこの屋敷の主人をしているわ。
何かあったら言ってね。」
彼女のしっかりとした挨拶を聞いて、彼女の世界を垣間見た気がしたアズキは、少しだけ怖くなった。
「さて、貴女方は、ソライ・アズキさんとキリタニ・トーヤさんね。
名前はファイからここ1ヶ月程たくさん聞かせてもらっていたわ。
よろしくね。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
明るいスズランに、ちょっと笑ってアズキが頭を下げる。
それにトーヤが倣う。
「さぁ、次はこちらね。」
そう言ってスズランが後ろを振り返る。
「リク!」
男の名を慣れたように呼ぶ。
「はいはい。」
これまでの話を少し離れて聞いていた彼が、こちらへゆったりと近付いてくる。
淡い金の髪しか分からなかった距離から、瞳の蒼さも分かる距離へと縮まる。
「こちら、リクよ。」
獅子の女の紹介の声と共に、優雅な所作で若者が頭を下げる。
ゆったりと、柔らかな笑顔と共に音を紡ぎ出す。
「はじめまして、お三方。
リク、と呼んでください。
貴女方の話はこちらの世界では有名でしてね。
北部を中心にスズランと同じ活動をする僕も貴方達の話は存じています。」
そう挨拶をした人の名を、ファイが口ずさむ。
「リク…さん?
名字は無いんですか?」
くす、と笑う。
「姓は秘密です。」
完璧な笑顔に三人は圧倒される。
「ファイさん、アズキさん、トーヤさん、よろしくお願いしますね。」
はい、とそれぞれが返事をする。
ファイはその笑顔が完璧すぎて、心の奥が見えなくて不思議そうに彼を凝視する。
その視線に気付いたリクは、目を丸くして見つめ返す。
数秒間視線を合わせていると、リクの男にしては些か高い声がこの場に響く。
「王女様。」
その唇の動きに、ファイが目を見開いて固まる。
「さぁ、皆いるみたいだし、自己紹介させてもらえるかしら。」
ファイが彼女から離れ、もう一度彼女を見上げると、視界の隅の違和感に気づく。
スズランの背後に見慣れない誰かがいる。
気をとられて返事をしたので曖昧な返事が出てしまう。
「あ、うん…。」
彼女の視線の先に気付いて、獅子の女がくすりと笑う。
「あれは誰だ。」
少しだけ棘のある黒猫の問いに、穏やかなスズランの声が返る。
「あぁ、あの人は大丈夫よ。
こちらの味方。
あとで紹介するわね。」
スズランが柔らかく笑うから、ファイは安心して頷く。
「はじめまして。
タチカワ・スズランよ。
年はそんなに違わないはずだから、スズランって呼んでくれたら嬉しいわ。」
偽りない笑顔がアズキとトーヤの二人に向けられる。
「闇医者を中心に商売をしているし、そこのお馬鹿さんのお姉さん役もやってるわ。
それからタチカワ家のこの屋敷の主人をしているわ。
何かあったら言ってね。」
彼女のしっかりとした挨拶を聞いて、彼女の世界を垣間見た気がしたアズキは、少しだけ怖くなった。
「さて、貴女方は、ソライ・アズキさんとキリタニ・トーヤさんね。
名前はファイからここ1ヶ月程たくさん聞かせてもらっていたわ。
よろしくね。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
明るいスズランに、ちょっと笑ってアズキが頭を下げる。
それにトーヤが倣う。
「さぁ、次はこちらね。」
そう言ってスズランが後ろを振り返る。
「リク!」
男の名を慣れたように呼ぶ。
「はいはい。」
これまでの話を少し離れて聞いていた彼が、こちらへゆったりと近付いてくる。
淡い金の髪しか分からなかった距離から、瞳の蒼さも分かる距離へと縮まる。
「こちら、リクよ。」
獅子の女の紹介の声と共に、優雅な所作で若者が頭を下げる。
ゆったりと、柔らかな笑顔と共に音を紡ぎ出す。
「はじめまして、お三方。
リク、と呼んでください。
貴女方の話はこちらの世界では有名でしてね。
北部を中心にスズランと同じ活動をする僕も貴方達の話は存じています。」
そう挨拶をした人の名を、ファイが口ずさむ。
「リク…さん?
名字は無いんですか?」
くす、と笑う。
「姓は秘密です。」
完璧な笑顔に三人は圧倒される。
「ファイさん、アズキさん、トーヤさん、よろしくお願いしますね。」
はい、とそれぞれが返事をする。
ファイはその笑顔が完璧すぎて、心の奥が見えなくて不思議そうに彼を凝視する。
その視線に気付いたリクは、目を丸くして見つめ返す。
数秒間視線を合わせていると、リクの男にしては些か高い声がこの場に響く。
「王女様。」
その唇の動きに、ファイが目を見開いて固まる。