空色の瞳にキスを。
突然の言葉だというのに、ふたりは何の躊躇いもなくそう言って強い瞳で笑う。

それに目を丸くした銀髪の王女は、アズキに笑われる。

「何よ、その顔。

私達が嫌だって言うとでも?」

口を尖らせてアズキが言うと、ゆるゆると銀髪の少女は首を振る。

「…ううん。
一人ではきっと出来ないだろうから手伝ってって、この話の後に言うつもりだったよ。

…だけどこんなすぐに力になってくれるとは、思わなかったな…。

ありがとう。

迷惑かけるけど、お願いします。」

─少し泣きそうな瞳は、きっと感動したから。

「あのな、俺はお前の為だけに国に歯向かうんじゃ無いからな。

国を変える為にお前が王になるのは、俺は賛成だから。

俺の願いは国を変えること。
自分の願いを叶えるため、だからな!」

トーヤは頭をがりがり掻いて、些かぶっきらぼうな口調になりつつナナセに言う。

目の前の彼女は驚いた表情で、トーヤを見上げている。

「若者5人で、今の国を変えようぜ。

…って言っても仲間はまだ増やさなきゃな!」

ニッと大人びた顔で少年らしく笑った少年に、ナナセがまた泣きそうな目をして。

みんなが応援してくれる、それが一番嬉しくて。

突き放されない、ナナセを受け入れてくれる彼らがいることが幸せで。

「…ありがと…。」

そんな台詞を幸せを噛み締めるようにぎゅ、と小さくなったナナセが落とせば、彼らの口元はゆるりとほどける。



「巻き込んで、ごめんね。
…絶対あたしがなってみせるから。

戦争なんて、もうさせないから。」


─だから、と。


強い、決意の瞳。


交わした国会転覆の約束は、国の運命を廻してゆく。





「聞いたか?」

「あぁ。」

「これはあの方に報告だな。」

そっと、扉を離れる二人の男。

金色の明るい髪の男と、黒い長い髪の男が扉の反対側で聞き耳を立てていたことなんて、銀の王女は知らない。
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