空色の瞳にキスを。
「お疲れ、ハルカちゃん。」

エリが診療室から帰ってきたハルカにお茶を入れてくれた。
お礼を言って、冷めないうちに飲む。

「毎日大変だなぁ、しんどくはないか?」

大丈夫、体は強い方ですから、とコルタに向けて小さく笑った。

リビングのテーブルから窓の外を伺うとやっと夕方になっていることに気がついた。

ぼんやりしていると、エリが夕食の支度を始めた。
料理の量の多さから、今日は隣に住むトーヤの一家も一緒に食べる様だ。

「エリさん、手伝いましょうか?」

「本当?助かるわー。
ハルカちゃんに対してうちのアズキは……。」

エリが隣の部屋にいるアズキの方を見て大袈裟にため息をついた。
話が聞こえたのか、アズキの足音が聞こえた。

「もう!分かったよ。私も手伝うよ!」

「アズキ、ありがとうね。」

エリは少し嬉しそうに、でも皮肉たっぷりにアズキに言った。
むくれるアズキをハルカが笑う。

久しぶりの3人での夕食の準備。

「エリさん、今日は何を作るんですか?」

「今日はねー……」

「ハルカ、お母さん、野菜シチューとかどう?」

目を輝かせたアズキに、二人は同意した。

「いいわね。ハルカちゃんどう思う?」

「いいですね。野菜たくさんありますし。」

この瞬間が、大事なものに思えてハルカは幸せそうに笑い、エリの手伝いを続ける。
キッチンからリビングにまでいい匂いが漂う。
「お父さん!ご飯だよ!」

アズキがリビングの父に聞こえるように叫んだ。

「おっ、今日は野菜シチューか。」

テーブルの上には質素だが温かな料理が並ぶ。
玄関から賑やかな声が聞こえてきた。
トーヤの一家が来たようだ。

「ハルカちゃん、出てちょうだい。」

「はいっ。」

リズム良く返事して玄関へ向かい、ハルカはトーヤたちを迎え入れる。
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