【BL】俺がお前にできること



嘘でも好きだって言うよ。

ほんとは違うけど、意地を張って
こんなことになるくらいなら、僕は好きを伝えてやる。


すると、ピクリと指が動いて、ヒナは静止した。




「…もっかい。もう一回だけ言って」



「好き」



「……っ、もう一回」




そう言って何度もヒナは僕に要求してきた。

だから、その度に言ってあげる。
嘘だけどね。



そう思うのに
いつもキリキリしてる心の中が
すとん、って楽になっていくのを感じた。



そして、ヒナが嬉しそうに笑うのを
見てみぬフリした。

うそだ、ヒナが僕の想いを受け入れるわけがない。


拒絶したじゃん。
触るなって言ったじゃん。



それなのに……




「弥生ちゃん。 俺も、好き」




なんで僕は
ヒナ以上に泣いて喜んでるんだ……



ばっかみたい。


捕まれた手首が離されて
指と指の間に、相手の指が入り込んでくる。

それは、とても心地いい。



勘違いしてる自分に笑える。


まるで、両想いになったねって、そんな空気を感じたのも、きっと、幻。





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