【BL】俺がお前にできること
一回、目を逸らしたはずなのに
知らず知らずのうちに僕は、また二人を見ていた。
なんだろ……
どうしてか瑛知を気にしてしまう。
そう思うのは……
ばちっ。
すると、瑛知ではなく、その隣の人と僕は目が合った。
じっと見られて
そのあとに、にこーと笑う。
「どうしたの? 俺のこと見つめちゃって」
…いや、見つめてはないんだけどね。
むしろ瑛知を見てたんだけどね。
「先輩なんて見てませんよ」
「うわ、ひど。弥生ちゃん冷たーい」
そう言いながらも僕に笑っているのだから、傷ついてはいないだろう。
そんな僕らのやり取りを聞いて、瑛知は首を傾げる。
「二人って仲良いっすよね!
とくに趣味が合うわけでも知り合いでもないのに」
「いや、俺と弥生ちゃんは中学が同じだからね」
「あ、そうだったんすか?
二人とも何も言わないから、どーしてだろーって思ってたんすよ」
へらっと笑った瑛知からは八重歯が見えた。
そんな瑛知に近寄り
まじまじと顔をみる。
んー……やっぱり。
「えーち」
「えっ!? なんすか、弥生せんぱい?」
…やっぱりだ。
きっと、どこかで瑛知を見て
もやもやしていたのは
あの頃の自分と雰囲気が似ていたから。
ただ、純粋に
陽向先輩を慕っていたから。