【BL】俺がお前にできること
往生際が悪いことなんか、わかってる。
そのあと、鈴とは別れて郁馬と二人で帰った。
他愛のない話をして
ちらりと郁馬の無防備な手を見て、触れたくなる。
「郁馬。手、繋がない?」
「くくっ……聞かなくてもいいのに」
そう言って嫌な顔せずに、俺に触れるから
余計にドキッとした。
震えてる?て聞かれて、震えてないと嘘をつく。
こんなにも緊張するのはお前だけだ、なんて恥ずかしくて言えないし。
しばらく、そのまま歩いて
なんか……甘いなあーてにやけそうになった時。
「すーちゃんと、なに話したんだ?」
郁馬の質問で、甘いものが消えた気がした。
「たいした話はしてないよ」
「わざわざ人気のない所で話すってことは、それだけ大切な話だったんだろ」
確かに大切だけど、郁馬には言いたくないんだよな。
にこりと笑って誤魔化そうとしたけれど、
全然、誤魔化せない。
真っ直ぐに俺を見るその瞳には、きっと俺なんて映ってないんだろうな……