【BL】俺がお前にできること
それから数日、鈴のことも郁馬のことも曖昧にしていたら
昼休みに剛さんに呼び出された。
久しぶりに会った彼はすごく大人びていて
その澄ました瞳で俺のこと、見定めていて怖かった。
「受験は大丈夫なんですか?俺に会ってる暇、ないでしょう」
「俺、優秀だからな。昼休み翔太くんと話すだけで成績は変わんねーよ」
まあ、俺は翔太くんじゃなくて郁馬くんと話すのもいいんだけど。と俺の後ろで戸惑ってる郁馬に微笑む剛さんを睨み付け、「郁馬は関係ない」と先に教室から出た。
郁馬は俺と剛さんの関係を知らない。
知られたくもない。
剛さんが郁馬と話してしまったら、きっと俺のおかしな感情を知ってしまう。
そんなの、嫌だ。
裏庭の木陰に二人で並んで、俺は木にもたれかかり溜め息をついた。
「ほんと郁馬くんが好きなんだねー」
馬鹿にしたような口調で言われて、キッと睨む。
「早く告っちゃいなよ。案外、上手くいくかもよ?」
「わかったようなこと、言わないでください」
「わかるよ。少なくとも郁馬くんよりは翔太くんのこと、分かってるつもり」
「……この前のことは感謝してます。でも、これ以上、関わるの止めて貰えませんか」
深入りされると、また……ペースを崩されてしまう。