【BL】俺がお前にできること




それから数日、鈴のことも郁馬のことも曖昧にしていたら
昼休みに剛さんに呼び出された。



久しぶりに会った彼はすごく大人びていて
その澄ました瞳で俺のこと、見定めていて怖かった。





「受験は大丈夫なんですか?俺に会ってる暇、ないでしょう」



「俺、優秀だからな。昼休み翔太くんと話すだけで成績は変わんねーよ」




まあ、俺は翔太くんじゃなくて郁馬くんと話すのもいいんだけど。と俺の後ろで戸惑ってる郁馬に微笑む剛さんを睨み付け、「郁馬は関係ない」と先に教室から出た。



郁馬は俺と剛さんの関係を知らない。

知られたくもない。

剛さんが郁馬と話してしまったら、きっと俺のおかしな感情を知ってしまう。



そんなの、嫌だ。






裏庭の木陰に二人で並んで、俺は木にもたれかかり溜め息をついた。



「ほんと郁馬くんが好きなんだねー」



馬鹿にしたような口調で言われて、キッと睨む。



「早く告っちゃいなよ。案外、上手くいくかもよ?」



「わかったようなこと、言わないでください」




「わかるよ。少なくとも郁馬くんよりは翔太くんのこと、分かってるつもり」



「……この前のことは感謝してます。でも、これ以上、関わるの止めて貰えませんか」



深入りされると、また……ペースを崩されてしまう。





< 269 / 382 >

この作品をシェア

pagetop