【BL】俺がお前にできること
「……俺さ?ときどきバスケ部の友達待ってんの。翔太くんとは違う場所で。気付いてた?」
「……だから何ですか」
「だから、だいたいのことは知ってんだ。郁馬くんが女バスのキャプテンを好きだとかー、そのキャプテンが郁馬くんを好きだとか……」
「……っ」
「正直、邪魔なのは翔太くんだぜ」
そのあとから、思考が止まっちゃって剛さんの話を理解していなかった。ずっと黙ったままぼーと遠く見てた。
それでも耳からは音が伝わってくるから
ぜんぶ吐き出して、忘れた方が楽だとか
伝えるつもりもないなら、早く手離せだとか
とにかく
剛さんの言葉からは、郁馬と一緒にいられるなんて希望は1つも出てこなかった。
現実ばかりが、また頭ん中を支配して
でもやっぱり幸せになりたくて、心がずっと拒絶していた。
あの頃のまま時が止まればいい。
そう強く願ったのは、この日以上にない。