【BL】俺がお前にできること




教室に戻り、郁馬が心配したようにこちらを見るから
へらりと笑って見せた。




「……翔、太…? なにがあった?」



「なんもないよ。気にすんなって」





この想いを告げる?

そんな簡単に言えるものなら、とっくに言ってる。



手離す?

それが出来ないから、卑怯な手を使ってこの距離を手に入れてる。



本当に、どちらかしか選択肢はないのかな。





「ねぇ、郁馬」



「ん?」




「今度の休み……どっか行こっか?」




「お、いいね!んで、どこ行くか決めてんの?」





嬉しそうに笑ってくれて、ほっと胸を撫で下ろす。



どこに行くかなんて、決めてない。


でもさ。




お前が一緒なら、どこだっていいんだ。


どこへだって、いける気がするんだよ。お前がいればね。









< 271 / 382 >

この作品をシェア

pagetop