【BL】俺がお前にできること
教室に戻り、郁馬が心配したようにこちらを見るから
へらりと笑って見せた。
「……翔、太…? なにがあった?」
「なんもないよ。気にすんなって」
この想いを告げる?
そんな簡単に言えるものなら、とっくに言ってる。
手離す?
それが出来ないから、卑怯な手を使ってこの距離を手に入れてる。
本当に、どちらかしか選択肢はないのかな。
「ねぇ、郁馬」
「ん?」
「今度の休み……どっか行こっか?」
「お、いいね!んで、どこ行くか決めてんの?」
嬉しそうに笑ってくれて、ほっと胸を撫で下ろす。
どこに行くかなんて、決めてない。
でもさ。
お前が一緒なら、どこだっていいんだ。
どこへだって、いける気がするんだよ。お前がいればね。