【BL】俺がお前にできること
30分して、ようやく郁馬は帰ってきた。
複雑そうな顔をしながら。
「郁馬、おかえり」
「あぁ」
遅かったね、と郁馬の肩に触れようとしたら
スッと避けられたのに、驚いた。
「食べよっか」
小さく笑って、些細な変化に気づかないふりをして
弁当を開けば
郁馬も頷いて買ってきたパンを無言で食べていた。
もくもくと、下向いて。小動物みたいにパンを食べる郁馬。
「遅かったけど、何かあった?」
「……別に。購買がいつもより混んでただけ」
「…そうなんだ」
「おう」
俺はコイツのことなら、何でも分かる。
だって、親友だから。
だって、特別な存在だから。
ねぇ、知ってる?
お前って、嘘つくとき
絶対に俺の目を見て話さない、ってこと。
なんで嘘をつくのか、それはきっと俺には言えないことで
きっと俺か鈴が関係してること。
さっきの小さな“拒絶”だって、それに関係してるんだろうね。