【BL】俺がお前にできること





バスケの練習が終わり、いつもの自主練。




前みたいに、郁馬が鈴と話してる。

あんなに傷つけられたくせに、なんで笑えんの。
もっと冷たくしても仕方ないのに。




目が合うのに、何も言えないのが……もどかしい。




「さーてと」




突然、歩き出した剛さんに視線を向け
その人が郁馬のとこへ行くのに、目を見開く。



嫌な感じがした。
だから、その後を追ってしまった。




「郁馬くーん!」


「……剛さん」



「なになにー?この子とすっごい仲いーじゃん」




鈴ににこりと笑って剛さんが言えば
鈴も若干、顔を赤らめて剛さんにぺこりとお辞儀する。



「すーちゃんとは、キャプテン同士なんで情報交換とかするんです。な?」


「う、うん」




剛さんの後ろで、そんな会話を聞いて
俺はただ黙っていた。



「えー、その割には仲良すぎじゃね?……付き合ってねーの?」



……は?
なに言ってんの、この人。



「はは、付き合ってないですねー」



「またまたー」




俺にしたみたいに、郁馬の肩に腕を回して
それを振り払わず笑っている郁馬。


やっとここまで持ち直したのに

郁馬の傷えぐんなよ。




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