【BL】俺がお前にできること
郁馬とこそこそ話をしている光景みて
さらに怒りを生む。
怒り?いや、これは紛れもなく、嫉妬。
なんで剛さん相手なのに、こんなムカムカするんだろう。
そんな自然に郁馬に触れんな。
早く、早く離れて。
どうして郁馬も振りほどかない?
―――……俺には、拒絶したくせに。
「翔太……?」
鈴の漠然とした声が聞こえた。
でも、もう、事は終わっていた。
鈴の声が聞こえたのは
俺が、郁馬にくっついた剛さんを突き放した後だった。
「……馴れ馴れしすぎです、剛さん」
これ以上、郁馬を苦しめるな。
俺が……忘れさせるんだから。
「くくっ、やっぱり翔太くんなら、こうすると思ったよ」
意味ありげに笑った剛さん。
状況把握できてない鈴。
そして、
固まっている、郁馬。
……しまった。
やっと俺は剛さんの企みに気づいた。