【BL】俺がお前にできること
ふいっと振り返って、ようやく俺を見た郁馬はまだ信じられないと、複雑そうな顔をしていた。
「……ふはっ、なに言ってんの。好きじゃなかったらお前と一緒にいないよ」
「そういう事じゃない」
「じゃあ何? 剛さんも郁馬も変なこと考えるねー」
「……真剣に答えろ、翔太」
触れられない距離で、俺を見る郁馬。
2メートル先にいるお前が、近くて遠い。
あぁ……もう誤魔化せない所まで来ちゃったんだ。
もう戻れないんだ。
あの日々を後悔はしないけれど、少しだけ名残惜しい。
もう笑ってくれない郁馬に、俺は軽く笑って見せた。
「そーいえばさー、明日の朝さ」
「翔太」
「早く来れたりする? 体育館に、来てほしいんだけど」
いつかの呼び出しに協力した時と、同じ条件を出す。
「それって……」
「その時に全部、話すよ。来てくれたら、だけど」