【BL】俺がお前にできること
勘づいている郁馬が来るはずないと思って、そう言ったのに郁馬は即答だった。
「ああ、行く! その時に全部、聞くからな? 約束だ」
その言葉に嬉しくも思ったが、驚きのほうが強かった。
こんな俺と
もう一度でも会って話そうと思ってくれるんだ。
優しい。優しすぎだ、お前……
郁馬の言葉に頷かず、ただ笑った。
そして、いつもの場所で別れた。
結局、隣を歩くことはなかった。
郁馬って、ほんと単純。
そう思って、郁馬の反応に一喜一憂してる自分も単純だろ、って小さく笑った。
そして、自分の家までの距離に
ポケットから携帯を取り出して、ある人に電話をかける。
その人はすぐに電話に出て、あの日のように笑ってた。
「やっほー」
「ふふ、やっほー。どうしたの?」
「この前の返事しようと思って…………協力するよ、鈴」
ついでに認めるよ、郁馬の隣に立つことを。
そんな偉そうなこと、親友でしかない俺が決める権利ないのかもしれないけれど、俺からしてみれば“親友”ってだけじゃないから。