【BL】俺がお前にできること
先輩ってキャラでもないけどね。
「―――きなんです、陽向先輩」
照れたように赤くなる頬。潤んだ瞳。
緊張でがちがち震える手。
「……ごめん」
落ち着いた、いつもより低めの声。
申し訳なさそうに眉を下げて相手を見る表情。
――……一瞬、自分が言われたような気がした。
ちらり。相手から僕に視線が変わり、僕に気付くと、さっきまでの表情は崩れた。
坂下まなか、という僕のクラスメイトと別れて
僕と濱田のところへ歩いてくる。
「弥生ちゃーん、覗き?えっちだねー」
「健全な男子ですから」
ヒナのノリをいかにも普通に返す。
無表情な僕にただ、ヒナは嬉しそうに笑っていた。
「陽向先輩って言うんですよね?俺、濱田って言います!
よろしくお願いします!」
「ん、濱田? よろしくー」
「陽向先輩さすがですねっ!! まなたん、うちの学年で人気高いのに」
「“まなたん”?……あー、さっきの子ね。確かに可愛かったわ」
ヒナの顔 見ないで、濱田の飲みかけのいちご牛乳に目を向けて、二人の会話を傍観してた。