【BL】俺がお前にできること




こんな道中で、待つことになるだなんて。
はあ……とため息吐いて
道端の建物にもたれかかった。


すると、にこにこしながら女の人も
僕の隣で待っているのに、目を見開く。



「…どうしたんですか?」



「弥生くん、だよね?ちょっとお話したいなあーって。だめ?」



あたしのことは叶笑でいいから、と言われたが
ヒナが年上だと言っていたから“叶笑さん”と呼ぶことにした。





「弥生くんは陽向と仲が良いの?」



「フツーですよ。中学からの仲なんで、良くはしてもらってます」



「あ、そうなんだぁ!ねぇねぇ、学校での陽向ってどんな人?」



嬉しそうに叶笑さんが話してくるものだから、僕も話に花を咲かせてしまう。

ヒナのことだから、余計に。



僕の知ってるだけのヒナを

本人には言えない本音も、ぜんぶ。




「陽向が好きなのね、弥生くんは」


って、くすっと笑われて、否定はしなかった。




< 307 / 382 >

この作品をシェア

pagetop