【BL】俺がお前にできること
こんな道中で、待つことになるだなんて。
はあ……とため息吐いて
道端の建物にもたれかかった。
すると、にこにこしながら女の人も
僕の隣で待っているのに、目を見開く。
「…どうしたんですか?」
「弥生くん、だよね?ちょっとお話したいなあーって。だめ?」
あたしのことは叶笑でいいから、と言われたが
ヒナが年上だと言っていたから“叶笑さん”と呼ぶことにした。
「弥生くんは陽向と仲が良いの?」
「フツーですよ。中学からの仲なんで、良くはしてもらってます」
「あ、そうなんだぁ!ねぇねぇ、学校での陽向ってどんな人?」
嬉しそうに叶笑さんが話してくるものだから、僕も話に花を咲かせてしまう。
ヒナのことだから、余計に。
僕の知ってるだけのヒナを
本人には言えない本音も、ぜんぶ。
「陽向が好きなのね、弥生くんは」
って、くすっと笑われて、否定はしなかった。