【BL】俺がお前にできること
でもやっぱり、ヒナの笑顔が叶笑さんに向いてることだとか、ヒナの腰に回った腕だとか、許せなくって、作り笑いして口を開いた。
「らぶらぶするのはいいんだけど、僕のこと忘れないでくださーい」
首傾げて、楽しくもないのにニコニコ笑った。
こうやって感情とは裏返しの態度をとれるようになったのは、ヒナが卒業してからだった。
ヒナがいるときも、無視されて辛かったけれど
ヒナがいなくなって、もっと辛くなった。
会えなくなって、ってこともあるけれど、他にもいっぱいいっぱい悲しくて辛い思いはした。
だから、こうなったことも
しっかりと受け止めて、前を向かなきゃいけないんだ。
「忘れてないよ?……てことで、叶笑さん?
俺、弥生ちゃんと帰るから」
「うん、そうね。あたしも、これからレポート書かなきゃいけないし。またね、陽向……弥生くんも♬」
やっと離れた二人の距離に、安堵した。
だけど、叶笑さんは言うんだ。僕だけに
「今を楽しもうね」と。